2012年5月9日水曜日

内閣支持率が低迷する中の応援要請

民主党は今回の衆院選を、鳩山代表、岡田幹事長、菅代表代行の「3枚看板」を前面に出して戦っている。代表経験があり、知名度も高い3人の姿を示し、有権者に政権交代の可能性を実感してもらう狙いだ。一方の自民党では、参院議員で国民の人気が高い舛添厚生労働相への応援要請が殺到している。

鳩山氏は22日、自民党の町村信孝・前官房長官が出馬する北海道5区に入った。千歳市での街頭演説で、「相手は底力がある。厳しい戦いが最後まで続くと思うが、支援の輪をお願いしたい」と訴えた。岡田氏は22日、神戸市で街頭演説し、「天井が抜けて今までの閉塞(へいそく)感が取れて青空が見える、それが政権交代だ」と訴えた。

「自民党の大物議員を落選させることが政権交代の象徴だ」(選対関係者)と判断し、18日の公示日には自民党の古賀誠選挙対策本部長代理が出馬する福岡7区で第一声を上げた。

民主党は、自民党有力者の選挙区に加え、2005年の衆院選で惨敗した都市部の結果が全体の勝敗を左右すると見ており、鳩山氏が大阪、岡田氏が神奈川、菅氏が東京と3氏に担当地域を割り振っている。また、前原誠司副代表、野田佳彦幹事長代理らも手分けして応援に回っている。

党幹部は「かつては党内に勢いのある弁士が少なくて、遊説の割り振りなどは困ったものだが、今は顔ぶれがそろい、どこの新人候補からも引っ張りだこだ」とほくそ笑む。

一方、同じ代表経験者でも、小沢代表代行は「3枚看板」とは反対に街頭演説を控え、地方の選挙事務所を訪問して運動員らを激励するなど「裏方」に徹している。21日には秋田県湯沢市で連合秋田や社民党県連などを訪ね、民主党候補への支持を要請した。党関係者は「組織固めなどは小沢さんの得意分野だ。『3枚看板』と役割分担をしてもらっている」と語る。

対する自民党は、幹部や派閥領袖の多くが苦戦を強いられており、応援がままならない状況だ。自分の選挙はない舛添氏が、こうした有力者の応援に回るケースも増えている。

22日には、町村氏の応援で北海道5区などに入った。札幌市での街頭演説では、「北海道の農家と米カリフォルニアの農家を比べたら負けるに決まっている。(自由貿易協定は)対等条件では結べない」と民主党を批判した。

舛添氏にはのべ約250人の候補から応援要請が来ているという。全国を駆け回る舛添氏を、党内では「将来の総裁候補として認知させる狙いもあるのでは」と見る向きもある。麻生首相(自民党総裁)も応援に飛び回っている。22日には、兵庫県佐用町の豪雨被災地を視察後、同県と大阪府の計6か所で街頭演説や事務所回りを精力的に行い、「大変厳しい状況と言われているが、反応は間違いなくよくなってきている」と強調した。

内閣支持率が低迷する中、当初は「応援要請は少ないのでは」という見方もあったが、18日から22日までの5日間ですでに8都道府県の23か所を訪れた。応援日程は29日の投票前日までほぼ埋まっているという。