2012年4月23日月曜日

証券界に「日興買収の軍資金ではないか」との観測が駆け巡った。

米金融大手シティグループが傘下に持つ日興コーディアル証券の売却問題が大詰めを迎えた。20日に行われた第2次入札には国内3メガバンクが応札。早ければ月内にも売却先が決まる見通しだ。争奪戦の行方は、日興と親密な三菱UFJフィナンシャル・グループ、個人向け証券強化に意欲を見せる三井住友フィナンシャルグループの2陣営による「一騎打ち」の様相が強まっている。

顧客網に魅力

深刻な経営不振に陥ったシティは世界的なリストラの一環として今年1月、日興コーデを非中核事業に位置付け、2月には3メガバンクなどに買収の意向を打診する1次入札を行った。今回の2次入札で最高額を提示したところに優先交渉権を与え、詰めの条件交渉に入る。

旧日興証券が三菱系だったことから親密な関係にあり、最有力とみられている。3月には子会社の三菱UFJ証券が米金融大手モルガン・スタンレーの日本法人と統合することで合意。企業の合併・買収(M&A)仲介や社債引き受けで国内上位の体制を確保した。法人顧客の株式や社債、高度な金融商品を売りさばくためにも日興が誇る顧客網は魅力的だ。畔柳信雄社長は「前向きにとらえたい」と意欲を示す。

しかし、優位に立つと見られた三菱UFJにも暗雲が漂う。今月、三菱UFJ証券の顧客情報流出問題が発覚したためだ。企業の法令順守体制に敏感とされる米政府や米金融機関が入札に当たって三菱UFJに厳しい評価を下すとの観測も浮上している。

対抗馬として急速に存在感を増しているのが三井住友だ。今月9日に最大8000億円規模の増資を発表。証券界に「日興買収の軍資金ではないか」との観測が駆け巡った。