2014年6月9日月曜日

リポ蛋白とは

血液中の脂肪には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、脂肪酸(遊離脂肪酸)の四種類が存在します。水と油は溶け合わないたとえとして使われますが、実際そうなのです。血清脂質は油なので、そのままでは水分である血液中に溶け込むことが出来ません。

しかし血清中の蛋白成分と結合すれば、油としての本態を保ちながら、血液中に油滴として析出しないで、溶けたのと同じ状態になることができます。従って、コレステロールや中性脂肪などの油分は、脂質と蛋白質の複合体の姿をしています。言い換えると、体内での血清脂質は、いちど吸収されたあと肝臓に貯蔵され、血中へ出てくる時にはリポ蛋白のかたちに再構成されます。そして目的の組織や細胞に達したあと、取り込まれた細胞内で再び本来のコレステロールや中性脂肪にもどり、細胞膜の原料やエネルギー源として使用されるわけです。

リポ蛋白は、エステル型コレステロールや中性脂肪を中心成分として、その周りを蛋白質、リン脂質、遊離コレステロールなどの層がおおった球形の構造になっています。皮にあたる表層部分の蛋白は、水溶性を促進させる働きを持ち、アポ蛋白と呼ばれています。リポ蛋白は見た目の構造は同じであっても、一つ一つの粒子に含まれる脂質の量とアポ蛋白の量が少しずつ異なっています。

具体的に言うと、脂質の含有量が多いものほど密度は軽く(低比重に)なり、蛋白含有量が多いものほど密度が高く(高比重に)なります。リポ蛋白は、この密度差(比重差)という特性によって、カイロミクロン、超低比重りポ蛋白(VLDL)、中間比重りポ蛋白(IDL)、低比重りポ蛋白(LDL)、高比重りポ蛋白(HDL)の五つのタイプに分けられています。個々のリポ蛋白は含まれている蛋白の量や種類が異なり、それぞれが果たす役割も違います。

カイロミクロンはリポ蛋白の中でもっとも比重が低く、一般の油同様に水より軽いのが特徴です。また粒子のサイズが大きく、その中身の九五%は中性脂肪で占められており、いわば中性脂肪の運び屋ともいうべき成分です。VLDLの基本的な役目も、力イロミクロンと同様に中性脂肪を組織に運ぶことです。VLDL中の中性脂肪含有率は七五%程度です。IDLの中身は中性脂肪が半分、コレステロールが半分という構成ですが、健常人ではごく微量しか存在しません。LDLの役目は組織にコレステロールを運ぶことです。その成分は、ほとんどがコレステロールーエステルです。このLDLの量が増えると、血管にコレステロールを蓄積させてしまう性質があるところから、「悪玉」コレステロールとして、動脈硬化の元凶とみなされています。