2012年7月9日月曜日

銀行賞与に上限を設ける

日米欧と新興国の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が4日夜(日本時間5日未明)、ロンドンで開幕した。金融危機の一因とされる銀行の高額報酬の抑制方法をめぐり、米英と仏独が激しい火花を散らしている。国際金融センターの地位を守りたい米英と、米英型金融資本主義こそ危機の元凶とみる仏独の思惑が対立しているからだ。

4月にロンドンで開かれたG20金融サミット(首脳会合)では主要国の財務省や中央銀行、国際機関などでつくる金融安定化フォーラム(FSF)の「健全な報酬慣行に関する原則」を実施することで合意した。

米英、仏独とも「リスクを省みず短期利益の追求に走ったトレーダーのツケをどうして納税者が払わなければならないのか」との国内世論の批判を浴び、高額報酬の抑制という総論では一致しているものの、方法論では対立している。

ドイツは、ストックオプション(自社株購入権)行使を4年後とする規制を盛り込んだ役員報酬制限を法制化。フランスもトレーダーの賞与に上限を設け、課税を強化する方針だ。サルコジ仏大統領は「賞与をめぐるスキャンダルに終止符を打つ」と述べ、今月下旬、米ピッツバーグで開かれるG20金融サミットの声明に盛り込みたい考えだ。

ロンドンの国際金融街では、優秀な人材を確保するため一部ではすでに高額報酬が復活している。ブラウン英首相は英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「賞与は短期の投機的な利益ではなく、長期的な成功に基づくべきだ」と述べ、あとで成績が悪化した場合は報酬を返還させるべきだとの考えを示した。

英紙デーリー・テレグラフによると、ダーリング英財務相はこの期間を5年とする案を今回の会議で提示し、仏独と調整を図っているという。米英とも、銀行賞与に上限を設けるフランス案は金融機関の活力をそぐとして「実施は困難」と消極姿勢を示している。