2014年12月13日土曜日

熱帯雨林の役割

人類が活動を始める前には、地球Lの陸地面積の半分近く、約六〇〇〇万平方キロメートルが森林におおわれていたといわれています。現在、森林は約二○○万平方キロメートルと推計されていますから、半分近くにまで減ってしまったわけです。森林の消滅は第二次回界大戦後、とくにこの一〇年問、目立ちます。その人部分は熱帯林です。熱帯林は年平均一七万平方キロメートルの割合で消滅していると推計されています。日本の国土面積の約半分です。

一口に森林といっても、数多くの種類と形態があります。樹木の種類によって、広葉樹林、針葉樹林、竹林などに分けられたり、雨林、常緑季節林、落葉季節林などと呼ばれたりすることもあります。森林はまた、密生林、疎生林に分けられます。密生林というのは、樹冠(木の梢)がびっしり重なって、上からみるとすき間なく緑のじゅうたんを敷いたようになっている森林を指します。疎生林は、樹冠は連続していないが、少なくとも林地面積の一○%を占めていて、草地が連続的に林地をおおっているような森林を指します。人工林、休閑林地、濯木林なども森林に含まれます。

地球温暖化との関連で重要な役割をはたすのは熱帯雨林です。熱帯雨林は、年中を通じて雨の多い熱帯にある密生林を総称したものですが、地域によってさまざまな種類をもち、多様な形態をとっています。世界の熱帯林ニ○○○万平方キロメートルのうち、熱帯雨林は一ニ○○万平方キロメートルを占めています。このように、面積からみると、熱帯雨林は世界の森林のほぼ三分の一ですが、植物体の量でみると、熱帯雨林の占める割合ははるかに大きなものになります。

一般に、地表上にある生物体の量を、乾燥収量ではかってバイオマスとよびます。地球全体のバイオマスは現在約一兆ニ〇〇〇億トンと推計されています。人類が活躍する前には約一兆四〇○○億トンあったといわれていますから、約半分に減ってしまったことになります。地球上のバイオマス全体のうち、森林のバイオマスは約九〇パーセントを占め、熱帯林のバイオマスはその半分を占めるといわれています。

このように森林のバイオマスが巨大な量に上っているのは、樹木は何十年、何百年、ときには何千年も生きつづけて、植物体をつくるからです。樹木が成長するのは、一枚一枚の葉がせっせと光合成をおこなって有機物を生産しているからです。一枚一枚の葉には、多数の気孔があり、葉緑素がたくさん含まれていてさかんに光合成をおこなっています。光合成というのは、太陽の光エネルギーを利用して、大気中の二酸化炭素と水を合成して、炭水化物有機物をつくり、同時に酸素を放出することです。生命体を形づくっているのは有機物ですが、植物の光合成を通じてはじめて地球上の生命体が命を保つことができるのです。