2014年11月13日木曜日

民事・商事トラブルの主たる原因とは

もし民事だけで激しく争われていたのであれば、状況はまったく変わっていたかもしれません。某知事の目論見通りになっていた可能性も充分あったのではなかろうかという気がします。ともかくここで言えることは、日本では、民事紛争における証拠集めが、とても難しいということなのです。

日本の民事裁判で何か大変かというと、「ほとんど自分の手持ち証拠でやらなければいけない」という問題があります。これがアメリカと日本の大きな違いです。

裁判を起こそうとする場合は、「何か自分の手持ち証拠を持っていますか」と弁護士に聞かれます。「はい、持っています。この通りです」と言って完璧な証拠を出してこられる人は、逆にちょっと危ない人というか、注意しなければいけない依頼者であって、普通そのような人はなかなかいません。

刑事事件ならば、国家権力が捜査して強力に証拠を集めてくれます。しかし、それが犯罪事件として取り上げてもらえなければ、どうしようもありません。国民の多くが巻き込まれるのは、犯罪事件とまではいえないような民事・商事のトラブルなのです。

そうした事件では、たいてい過去に起きたことが問題となります。例えば相続問題であれば、その家族では何十年も昔のあの時どうだった、こうだった、というような話が非常に重要な争点になることがあります。